酒商のより

学生時代、コンパでいつも悪酔いする日本酒が嫌いでした。しかし、サラリーマンになって上司に連れて行かれた居酒屋で飲んだ「山鶴 特別純米酒」の美味しさに驚き、それまでの印象が一変しました。
その後、実家の酒販店を継ぐことになり、地酒や焼酎、国産ワインなど、自分が美味しいと感じたお酒（有名なものにこだわらず）をお客様に紹介したいという思いで初めて蔵元と直接取引したのが「花巴」でした。しかし、父は「リベートもない訳の分からん酒を売ってどうする」と反対。さらに酒ディスカウント店の出店で売上は激減し、インターネットも普及していなかった時代、地酒の広がりは難しいものでした。
それでも、少しずつ口コミで「美味しい酒」「珍しい酒」があると評判になり、私が地酒の魅力に目覚めた居酒屋でも「花巴」を取り扱っていただけるようになりました。その後、妻が立ち上げてくれたホームページの力と焼酎ブームが重なり、業績も回復。店舗の移転や奈良三条店の開店・閉店など、様々な出来事がありましたが、還暦を過ぎた今、蔵へ行く回数より病院へ行く回数が増え、日々の業務も徐々に辛くなってきました。
これからは次世代へこの店を引き継いでいくため、さらに努力してまいります。

代表野依 宏人